博多生まれの私にとって、道といえば博多祇園山笠の順路、それも「追い山」の順路につきる。毎年7月1日から2週間催行される山笠の最終行事追い山は、総鎮守櫛田神社から廻り止めまで博多全域にわたる5キロのコース。普段は変哲のない生活道路である道が、この時はハレの舞台・神聖なる道と変貌し、男たちはその年最後の山を、また、一生続く山笠人生の中の一度限りの山を全力で走り抜ける。
閑話休題。横道にそれるが、「博多町家」ふるさと館は開館10年の歴史資料館で、私は館長を勤めている。昨年、「懐かしの博多アルバム散歩」という写真展を開催した。住民のアルバムから選んだ写真を拡大し、その家に掲示してもらって、散歩しながら博多の歴史をたどるという企画だった。山笠をはじめ未発表の写真が多数提出され、写真資料の散逸防止にも役立った。同時に、各家庭の説明を受けながら約2時間の散歩は、天正15年太閤町割り以来の狭い道路に車のあふれる現状にあって、「道」が単に生活利便のためだけでなく、人々の人生そのもののためにあるという本来の目的を再認識するきっかけにもなったのではと思う。
アルバム散歩は今年も開催の予定だが、同じような企画として追い山コースでの博多山笠資料展も近い将来ぜひ実現したい。
長谷川 法世プロフィール
漫画家、小説家、エッセイスト。連続執筆した「博多っ子純情」で地元気質、祭りなどを紹介し、博多ブームに火を点けた。愛郷心が強く、山笠は土居流れで毎年参加。テレビのコマーシャル出演や新聞のエッセイ執筆など幅広く活躍中。