読書が好きで、現在、娘と共に時代小説にはまっている。山本一力、宮部みゆき、澤田ふじ子等…。江戸大川端の旅籠「かわせみ」を舞台にした平岩弓枝の「御宿かわせみ」シリーズは、31話まで読破。当時の暮らしには、憧れさえおぼえる。
様々な物語の中にあって、現在無くなりつつあるもの…「土の道」が、何故だか私の心の琴線にふれる。祖母の引くリヤカーに妹と乗り、畑まで出かけたこと。乾いた土ぼこりの舞う道を、隣の地区まで歩いて遊びに行った夏の日。幼い頃の記憶の中に、いつも「土の道」があった。いま、その「土の道」を探すのには、苦労する。
現在、児童クラブ指導員として働いている「ひかり児童館」のすぐそばに、ささやかな「土の道」がある。天気の良い日、宿題をすませ、おやつを食べ、外へとび出してキックベースボールや一輪車で庭をかけまわる子供たち。そんな彼らに「散歩に行くよ」と声をかけると、「村ちゃん、早よ行こ」「今日は何とると?」などと、口々に言いながらついて来る。ときには、牛乳パックやビニール袋を持って…。
横を小さな川が流れるこの「土の道」は、四季折々の自然の恵みを与えてくれる。ワラビ、イタドリ、野イチゴ、桑の実…、ヤゴ、オタマジャクシ、イモリ、鮎、ハヤ、蛍、カジカ蛙と、実に盛りだくさん。子供たちと摘んだ草花は、児童館の玄関に飾る。捕まえたイモリは卵を産み、ついに先日孵化した。
長さ1キロもない「土の道」。ここで子供たちは、自然の不思議や生命の大切さを学ぶ。コンクリートやアスファルトの道は便利だ。その恩恵は、確かに日々の生活の中で受けている。けれど、私が本当に子供たちに伝えたいのは、「土の道」にある楽しさだ。
月に一度の土曜日を「クリーン作戦の日」と名付け、午前中、子供たちは道路(国道388号線)の空き缶などを拾う。「ひとつも減らん」とボヤキながら・・・。その対岸には、大好きな「土の道」がある。
【プロフィール】
宮崎県延岡市北浦町在住。北浦町地域婦人連絡協議会会長。延岡市の道づくりを考える女性の会副会長。ひかり児童館児童クラブ指導員。