ワクワクする石畳のオランダ坂 |

グラバースカイロードの頂上からの眺め |
♪坂の長崎 石畳♪と歌われるように長崎は坂が多い町です。私の好きな道はオランダ坂。明治初期に外国人居留地が造られた東山手、南山手へ向かう途中の坂道です。
江戸の鎖国時代、唯一海外に開かれた窓口だった長崎の出島。外国人居留地の区画でした。長崎では西洋人のことをすべて「オランダさん」と呼び、その名残で長崎人にとって外国人居留地の坂はすべて「オランダ坂」だったそうです。今では東山手の活水学院下の切り通しが「オランダ坂」として知られ、多くの観光客が訪れます。
坂道は、住む人にはつらいものがあるけれど、初めての人は「坂の上には何があるのだろう」「上ればどんな光景?」と期待でワクワクする。そんな魅力を秘めています。今に伝わる長崎オランダ坂は石畳で、周囲は煉瓦塀の古い洋館。保存整備が進み、ヨーロッパの町並みを想わせる異国情緒にあふれているので格別です。
私が幼いころのオランダ坂は、今のような風景でも観光名所でもありませんでした。今にも壊れそうな、まるで幽霊屋敷みたいな木造洋館がたくさんあって、ドキドキしながら仲間たちと冒険ごっこをしました。ある時、道に迷って、焦れば焦るほど迷路みたいな所に入り込んで、とうとう私は泣き出しました。心細かった気持ちは覚えています。今も時間があると、私の足は自然とオランダ坂に向く。思い出や歴史を行き交わせながら、さるきます。「さるく」は長崎弁で歩き回ること。最近はホテルやマンションなどの高層の建物が増え、昔の面影が少なくなったのは残念です。
もう一つ紹介したい新しい坂道がグラバースカイロード。斜面都市・長崎市が平成14年に生活道路として初めて設けた斜行エレベーター道路です。総延長は160m。もちろん無料で、終点はグラバー邸。観光客にも便利ですが、本来の目的は坂の上居住者の高齢化対策、住環境を少しでも良くしようというバリアフリー坂道の試みです。
かつて通称「地獄坂」と呼ばれた長く急な階段から解放され、買い物や散歩、町まで出掛けるお年寄りたちの元気な笑顔に出会えます。夜景は「百万ドルの価値」があるお薦め坂道です。斜面に張り付いたように建つ長崎の家々の灯りが長崎港の水面に映えます。
道は変わるのです。道守活動をしながら、その感をいっそう強めています。
【プロフィール】
長崎市生まれ。福岡女子大学卒業。現在、長崎市出島町でペンション経営。道守長崎会議代表世話人。道路利用者の立場から道路の調査活動を行う「ルート34ワークショップ実行委員会」委員長、活水女子大学非常勤講師、長崎県美しいまちづくり審議会、長崎市都市計画審議会、同都市景観審議会の各委員。