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九州風景街道 新たなルートの可能性を探る<2>

魏志倭人伝のみちが蘇る
日韓の風景街道
 〜日韓シーニックバイウェイを構想する〜

 2002年のワールドカップサッカー共催、韓流・日流ブームなど日韓交流が深化を続けるのを見ていると、日本と韓国、とくに九州と韓国との距離の近さを強く感ずる。実際、九州からの距離でみると、韓国の大都市であるソウルや釜山のほうが東京や大阪よりも近い。一方歴史を振りかえると、九州と韓国とは心理的に一層近く感じられる。大陸から日本への技術や文化の伝来、秀吉の朝鮮出兵などの争い、朝鮮通信使などの交流といった数々の歴史が存在している。
 こうした日韓の歴史や各地の風景などの地域資源を切り口に、日本と韓国とをルートでつなぐ風景街道が構築できる。舞台は九州北部、韓国南部、そして両者を結ぶ壱岐・対馬である。日韓にかかわる史跡を中心に、日本人、韓国人の双方が興味を持って周遊できる韓国南部―壱岐・対馬―九州北部の3ブロックから成る「モデルルート」を組み立ててみた。

地図1

韓国南部ブロック(地図1)

チャガルチ市場
晋州城

 韓国南部では、3つの世界遺産のほか、秀吉の朝鮮出兵関連のものなど多数の史跡、美しい自然景観などが数多く、これらを結ぶルートの構築が可能である。韓国南部の入口である釜山には、李舜臣の銅像がある龍頭山公園、チャガルチ市場(写真1)、海岸リゾート地の海雲台、朝鮮戦争の兵士を祀るUN(国連)墓地をはじめ数々のスポットがある。その北の蔚山には、加藤清正の築いた日本式山城の跡が今なお残り400年の時を迎えている。そのさらに北には新羅時代の都・慶州があり、仏国寺、石窟庵といった世界遺産、その他数多くの史跡を有する歴史地区が広がっている。その西に位置する大邱は、朝鮮出兵時に日本武将・沙也可が朝鮮に帰化し定住した村・友鹿洞、リゾート地である寿城などが有名。さらに西へ進むと、世界遺産・海印寺、韓国の代表的霊山・伽耶山がある。南の海岸部へ下ると、朝鮮出兵にまつわる遺構が多数みられ、なかでも晋州市では、日本軍を迎え撃った晋州城(写真2)、壬申倭乱の資料を数多く展示する国立晋州博物館が有名。このほか、亀甲船のレプリカを展示する麗水、朝鮮出兵時の最大の海戦地である閑山島などもある。またこの地区は、複雑に入り組んだリアス式海岸の風景が美しい。

九州北部ブロック(地図1)

名護屋城博物館
呼子地区

 韓国南部に対応し、歴史を中心としたルートを構築してみた。九州側の玄関口である福岡市では古代の迎賓館であった鴻臚館跡、漢から贈られた金印の発見の地・志賀 島、元寇防塁跡などの貴重な遺跡が存在している。玄界灘の眺めを楽しみながら海岸沿いの道路を西へ走ると、朝鮮出兵時の史跡が点在する唐津に到着する。出兵時の拠点であった名護屋城址、日本と朝鮮との交流の歴史や朝鮮出兵時の史料を展示する名護屋城博物館(写真3)、名護屋城の城壁等を用い江戸時代初期に建造され唐津藩の藩庁にもなった唐津城などが有名である。同市呼子地区はイカ料理や海産物で知られ(写真4)、壱岐との間を定期フェリー航路が結んでいる。南へ向かうと、朝鮮の陶工により伝来された有田焼、伊万里焼が有名だ。東へ向かうと、弥生時代の大規模な遺構・吉野ヶ里遺跡があり、さらに福岡方面へ向かうと古代からの日本の歴史をアジア史的観点から捉えた展示で知られる九州国立博物館が位置する。


壱岐・対馬ブロック(地図2)

 壱岐・対馬は、古代からの大陸と日本との交流の「道」となった島々であり、歴史をベースとする日韓シーニックバイウェイにはぜひ組み入れたい。 壱岐では、弥生時代の大規模集落が残る原の辻遺跡、古代万葉の時代の遣新羅使の墓、朝鮮通信使の迎接所であった神皇寺跡などがある。また対馬では、南部の厳原に対馬藩時代の藩船係留地・お船江跡(写真5)、対朝鮮外交に活躍した雨森芳洲の墓などが、中部では海に浮かぶ光景が印象的な和多都美神社(写真6)などが、韓国までの直線距離が約50 kmの北端には好天時に朝鮮半島が見える韓国展望所などがある。
 以上、歴史を主な切り口に代表的なスポットをつないだモデルルートを紹介した。韓国南部、九州北部、壱岐・対馬ともすでに道路網も整備され、またこれらの間を結ぶ海、空の航路網も構築されている。この地域には古代から現代までの数多くの史跡等のスポットが存在している。道路や航路を活用しながらそれらを風景街道としてつなぐことは、日韓の人々の交流の歴史を再現することであり、その文化のルーツ、民俗の展開を辿り相互の理解を深めるうえで意義深いものがある。

地図2藩船係留地・お船江跡
和多都美神社

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