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海外道事情

【vol.15】 古き米国へといざなう田舎道 オールドキングスハイウエイ

樋口明彦

緩やかなカーブが続くオールドキングスハイウエイ 歴史を感じさせる沿道の風景
歴史を感じさせる沿道の風景
緩やかなカーブが続くオールドキングスハイウエイ 築120年以上の建物。宿泊施設として使われている


アメリカ合衆国古き米国へといざなう田舎道
オールドキングスハイウエイ



 ケープコッドは、米国マサチューセッツ州南東に突き出た半島である。東海岸有数の避暑地であり、悲劇の大統領JFケネディが愛した場所としても知られている。この半島北岸に沿って東西に走る総延長54.4キロの田舎道は、地元でオールドキングスハイウエイ(以下OKHと略す)と呼ばれている。古くはインディアンが切り拓いた道であったと言われており、17世紀にヨーロッパからの移民によるコロニーの建設が進む中で、いつからかそう呼ばれるようになったらしい。

 地形に沿って緩やかに蛇行しアップダウンするこの道を楽しむには、時速40キロ程度でゆっくりと流すのが一番よい。できればオープンカーで。

 海岸や砂丘を眺めながらドライブすると、やがて巨大な街路樹が道の両側に並びだす。集落が近づいてきたサインだ。よく手入れされた歴史的建物はアンティークショップや住居として今も現役で使用されている。そうした集落の中を数世紀前と同じ有機的なラインを引いてOKHは走り抜ける。OKHを初めて走ったとき、私は建国当時のアメリカにタイムスリップしてゆく自分を感じた。

 実は、この素晴しい道の管理をめぐり、マサチューセッツ州の道路部局と地元との間で、いざこざが絶えない。例えば、「通過交通の効率と安全性を高めるため、道路の直線化を進める」という、どこかで聞いたことのある話。それがOKHとまったく馴染まないことは、この道の素晴しさを一度でも体験すればわかるはずのことと思うのだが、残念なことにそうしたことのわからない頭の固い道路エンジニアが、かの国にもいるのである。洋の東西を問わず、エンジニアが数字しか理解できない狭量な人種であるとき、風景は荒廃に向かわざるを得ないのだろう。


マサチューセッツ州

アメリカ合衆国(通称 米国)
1965年に「道路美化法」、1989年に地域資源の概念を盛り込んだ「シーニックバイウェイ法」が成立。観光や地域活性化を目的とした道路活用の先進国でもある。

マサチューセッツ州
州の南東部端はケープコッドと呼ばれる大きな砂質の半島。マサチューセッツ湾、ケープコッド湾など複数の大きな湾を持つためにBay State(湾の州)として知られている。

オールドキングスハイウエイ
樋口明彦

プロフィール
樋口明彦
九州大学大学院工学研究院 准教授
平成11年まで米国東海岸で暮らす。専門は景観デザイン

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