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海外道事情
【vol.14】 ガソリン車の乗り入れを禁止した アルプスの山村 ツェルマット
池永正人
スイス連邦(通称スイス):永世中立国として有名なヨーロッパの連邦制共和国。首都はベルン。人口は745万人。国内に多くの国際機関本部が設置されている。ツェルマット村:ヴァレー州のマッターホルン山麓にある町。スイス屈指の山岳リゾートで、アルプス観光の中心地のひとつ。絶景地にのびるケーブルカーや登山鉄道が多数ある。
スイスには「スイス・カーフリー観光地共同体」(GAST)に加盟している村が9箇所あり、そこではアルプスの自然保護と持続可能な観光のために、ガソリン車の乗り入れを禁止している。これらの村を訪れる場合は、村の入口に整備された駐車場に自家用車や観光バスをとめ、登山鉄道やケーブルカーに乗り換えて村に入ることになる。村内の主要な交通手段は、電気自動車(小型バス、タクシー、ホテルの送迎車)、馬車(ホテル客の送迎、村内遊覧)、自転車である。 スイスアルプス最大の山岳観光地ツェルマット村(2005年‥人口5600人、延べ宿泊客数180万人)では、第二次世界大戦後の1947年にガソリン車の村内乗り入れを禁止し、電気自動車と馬車による交通の条例を施行した。また、ゴミ処理場や上下水道の整備、雪崩・洪水の自然災害対策、村独自の建築基準法を制定して集落景観を維持するなど、環境に配慮した観光地づくりが早くから行われてきた。観光客は隣村のテシュにある広大な駐車場(2004年‥屋外3000台、屋内1400台)に駐車し、登山電車に乗り換えて所要時間9分でツェルマット駅に到着する。 ツェルマット村の交通条例は村内全域の公道に適用し、道路は原則として歩行者優先である。特別に許可されたガソリン・軽油車両は、農業用運搬車、清掃車・救急車・霊柩車・除雪車・パトカー・軍用車などの公共車両、ショベルカー・ブルドーザーなどの建築用機材や廃棄物輸送車である。また、電気自動車の利用は、タクシー業者と宿泊業者に限られる。しかも宿泊業者の許可条件は、ベッド数31台以上、年間宿泊者数4000人以上の宿泊施設であること、宿泊・飲食業経営許可証と駐車場所有証明を提示することとされている。電気自動車の外観は箱型であり、ガソリン車と同様な型や斬新な仕様は禁止し、ハイブリッド車も許可されない。なお、車両の最高速度は時速20kmに規制されている。 このような交通規制に対する住民と観光客の反応は、両者とも極めて好意的である。清潔で美しい景観、静寂で安全な生活環境が、持続可能な観光地を形成しているのである。 スイスには「スイス・カーフリー観光地共同体」(GAST)に加盟している村が9箇所あり、そこではアルプスの自然保護と持続可能な観光のために、ガソリン車の乗り入れを禁止している。これらの村を訪れる場合は、村の入口に整備された駐車場に自家用車や観光バスをとめ、登山鉄道やケーブルカーに乗り換えて村に入ることになる。村内の主要な交通手段は、電気自動車(小型バス、タクシー、ホテルの送迎車)、馬車(ホテル客の送迎、村内遊覧)、自転車である。
プロフィール長崎国際大学人間社会部 教授 池永正人 氏 博士(学術)[千葉大学大学院自然科学研究科]。専門は観光地理学。九州風景街道推進会議委員。