ロータリーには自転車専用レーンがある。自転車、車、人の徹底的な分離こそドイツの都市圏交通の要だ |
「グーテン・モルゲン!」。早朝、ホテルの周囲を散歩していると、自転車に乗った若い女性からあいさつされた。なぜか、しかめっ面、怒鳴り声で…。
昨年、視察で訪ねたドイツ・ハノーバー市での出来事。実は、歩道と思い込んで散歩していた道は「自転車道」。「おはよう」には「どこ歩いてるんだよ!」という叱責が含まれていたわけだ。都市圏交通体系に積極的に自転車を生かしている国、ドイツ。ハノーバーはその先進市の一つという。
市庁舎を訪ね、自転車交通担当のジーグマー・ズーレイさんに話を聞いた。同市が自転車の活用に乗り出したのは1970年代。当時、都心部への自動車流入量の増加に伴い、渋滞、排ガス・騒音公害が深刻化していた。79年に「自転車道プラン」を策定。これまでに全長約530キロの自転車道を網の目状に整備、さらに160キロ延ばす計画という。主要駅に300台以上収容の大駐輪場。ほかに、鉄棒に自転車を自前の鍵でつなぐだけの簡易無料駐輪場が約5000カ所ある。素晴らしい自転車利用環境だ。
さて、振り返って日本。まず、こうした簡易駐輪場をもっと増やしてはどうか。そして、幅が広い歩道の一部や車道の路肩にとりあえず「自転車道」を設ける。いずれも低予算でできるはずだ。そこから本格的に都市圏交通に自転車を活用する施策に取り組めばいい。
夕暮れ時、自転車通勤をしているガイド兼通訳のフーマン・モナさんと別れた。「チュース(さよなら)」。が、なぜか自転車に乗ろうしないモナさんの視線を追うと、何と「歩行者用」、「車用」とは別に自転車用の信号があった。もちろん赤! 車・自転車・人の交通分離の徹底に、改めて「さすがドイツ」とうなってしまった。
交差点には自転車専用の信号がある |
ドイツ各地には、その土地独特のユニークなデザインの簡易駐車場があちこちに。無料で手軽に利用できる |
自転車専用道には右折レーンもある |
岩田 直仁 氏
プロフィール
西日本新聞地域報道センター部次長。鹿児島総局、社会部、北九州支社、文化部を経て2005年から現職。