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海外道事情

【vol.5】 アメリカのシーニックバイウェイの魅力
      〜旅が変わった!途中も楽しむバイウェイ〜

信也

 学生時代、北海道と九州をそれぞれ2、3週間かけて一周し、自然の素晴らしさを知った。その後もよく旅をした。妻も自然派、国内外のパックツアーに出かけた。
 時間のゆとりが見え出したころ、ツアーがない旅へ憧れた。ワイオミング州観光局スタッフが薦めたのは車旅行。11年前、57歳で運転免許を取得。以後、米国内旅行はレンタカーの旅になった。寄り道(バイウェイ)の楽しさがある。シーニックバイウェイを選びながら走っている。体験や提案をまとめてみた。


【体験リポート】
回り道は全線がシーニックユタ州からロッキー山脈国立公園へ



 たとえば2003年春のアメリカ中西部旅行。途中ユタ州アーチーズ国立公園からコロラド州ロッキー山脈国立公園に向かった。インターステート(州間道)I-70号から国道US-40号を行けば1日行程だが選んだのは全線シーニックバイウェイ。1泊2日の回り道だった。
 ユタ州道128号はコロラド川沿いを走る。川岸は自然のまま、新緑が鮮やかだ。Oak Grove Recreation Site に車を入れる。誰もいない。静かに流れる時間。風景を眺め、発砲スチロール容器に用意した食料やミルクで昼食。対岸は赤黒く逞しい崖、100mもあろうか。高いところは450mもあるそうな。
 カヌーが2艘下ってきた。少し行くとTAKE OUT BEACH。グループや家族がここからカヌーやゴムボートを川に浮かべている。ランチタイムか、楽しげに談笑し、黄色いボートが太陽に照らされて鮮やかだった。
 I-70号に乗る。制限速度75マイル(120km)。すぐ右手のコロラド川が太陽に照らされ新緑と川面がきらきらと輝く。どこまでも続く。車窓の前方は広大な平原、遥か彼方に地平線が霞む。
 コロラド州道82号に入ると風景は雪山と小川、白樺に似たアスペン(ポプラ科)の森は新緑・。途中からカーブの多い崖道、雪山と新緑の山並み、渓流が美しい。White River National Forestで休み、小道を散策。人気はない。可憐で美しい花があちこちに。足元に小川。せせらぎの音が和ませる。清冽な流れに手をつけ水の冷たさに驚く。体が冷えてきた。車に戻りコーヒータイム。絵のような風景と魔法瓶のコーヒーの温かさ。至福の時間だ。
 アスペン泊。

 コロラド州道82号を進む。冬期通行止めが終わって間もないIndependence Passで車を降り山頂展望台Over Lookへ。4000m級の雪山が眼前に聳える。道の両側は白や黄、紺の高山植物が咲き、雪渓が美しさを引き立て、岩陰のリスが辺りを窺う。Twin Lakesですこし波立っている湖面を眺めて昼食。
 コロラド州道91号に入ってすぐ黄色い花の群落に出会う。振り返ると雪山が少しのぞいている。写真を撮った。I-70号を経由しUS-40号へ。稲妻が走る豪雨になった。カーブが多い坂道。運転に集中し風景を楽しむ余裕はなくなった。
 雨も含めシーニックドライブは十分に楽しめた。この道を選んで正解、妻にも好評だった。


【状況&提案】
レンタカーが生む旅のゆとり距離表示を 情報満載の地図を

 勇気を出して初めて出かけたアメリカ・レンタカー旅行で道からの景観や要所要所の展望台、休憩スポットなどに感動した。周りに余分なものがない道とドライブは爽快だった。通った道はシーニックバイウェイ、と後で知った。
 以来、アメリカ旅行の仕方・行程が変わった。目的地を訪ねるだけの旅行から途中も楽しむ、シーニックバイウェイ経由になった。AAA(アメリカ自動車協会)道路地図にはシーニックハイウエイやシーニックロードが表示され、給油・食料購入・宿泊施設などの所在も記載されている。米国各州政府観光局の道路地図は日本でも事前にインターネットや在日事務所などで入手でき、表示マークは現地と同じだから便利だ。
 シーニックバイウェイの指定基準は知らないが、体験的に言えばいくつか特徴がある。整備・舗装はされているが遮音壁やガードレールは一切ない。標識は数も内容も必要最小限、道番号や主要地点までの距離だけ。広告看板などはまったくない。要所要所には休憩場所、Recreation SiteやRest Area、そしてトイレがある。トイレのきれいさ。誰れの努力なのだろう。
 数年前、90歳を超えた両親を北海道と沖縄に案内した。レンタカーを利用した。気に入ったらゆっくり堪能、トイレ休憩もひんぱんに、と余裕の旅ができた。団塊世代の退職時期を迎え、車旅行が盛んになっていくだろう。
 日本では観光地や食事・ショッピング情報は多いが、途中の道路に関する情報は少ない。道路自体が効率優先ではなかったか。シーニックバイウェイ的なものができ、景色の美しい道路や給油・食料購入・宿泊などの情報がある地図がほしい。「○○まで○km」は一般道路にも旅行ガイドにも必需だ。多くの人が見知らぬ土地をもっと訪ねるようになるだろう。

筆者:尾 信也
*WEBで発信中 熟年夫妻のレンタカー旅行*
千葉県習志野市。68歳。米国シーニックバイウェイ旅行記はホームページ「おりおりの熟年生活」(http://www1.seaple.ne.jp/ozaki/)内で「61歳からはじめた海外レンタカー旅行」と題し文章と写真で報告。走行距離や燃料・宿泊費用などの記録もある。

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