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海外道事情

【vol.4】 数字以上に遅れている日本の高速道路整備水準

増田 博行


■図1 自動車1台当たりの高速道路延長
自動車保有台数(100万台当り)の高速道路延長
[資料]道路ポケットブック2004


■図3 高速走行可能な道路延長
自動車保有台数当り道路延長(km/100万台)
[資料]日本:道路交通センサス1999/イギリス:DfT"Transport Great Britain:2002Edition



■図4 高速走行可能な道路の利用度
「全道路の総走行台キロ」に対する「高速走行可能な道路の総走行行台キロ」の割合
[資料]日本:国土交通省/イギリス:Road Traffic Statistics 2001


■図5 交通事故率
1億台キロ当りの事故件数
[資料]国際道路交通事故データベース 警察庁交通局

 図1に示すとおり、日本の高速道路供用延長は、自動車一台当りの水準でフランスの三分の一、ドイツやイタリアのおよそ二分の一、イギリスと同程度である。イギリスと同程度?実際に1年間滞在し、車で3万キロ近く走行してみて、この数字に違和感を覚えた。
 イギリスの場合、日本の高速道路に相当するアクセスコントロールされた自動車専用道路としては、いわゆるモーターウェイ(M路線)があり、それだけを比較すれば日本とほぼ同等である。しかしイギリスの一般国道であるA路線のうち、上下線分離の道路は、実質的にM路線と同程度の規格であり、制限速度もM路線と同じ70マイル/h(約112km/h)である。これらの路線は、M路線と補完しあって高速道路ネットワークを形成しており、これを加えた場合、イギリスの整備水準は、日本をはるかに凌いでいる。


■図2 高速走行可能な道路ネットワーク
赤線は制限速度80km/h以上の道路
[資料]データでみる国際比較 ※日本:暫定2車線区間を除く高速自動車国道 ※イギリス:高速道路、市街地を除く国道

 イギリスと日本の制限速度80km/h以上のネットワークを比較すると、両国の格差はより鮮明になる(図2)。これを自動車保有台数あたりの道路延長で比較すると、20倍近い格差となるが(図3)、これは、実際に車で走行してみて感じた実感に近いものである。
 また、このような高速走行可能な道路の利用度を比較すると、日英で3倍以上の開きがあり、日本では9割弱の車が、歩行者や自転車などと混在する道路を走行しているということになる(図4)。これは、両国の交通事故率の差にも現れていると考えられる(図5)。
 これまで、日本と欧州等の高速道路ネットワークの整備水準を比較する場合、共に自動車専用の高速道路を対象にしてきたが、「高速走行可能なネットワークの比較」という趣旨から考えれば、海外の対象を自動車専用の高速道路に限ることに問題があり、走行可能速度等のサービスレベルに着目すべきであると考える。日本の場合、地形や沿道利用の状況、法的規制などの理由から、高速走行性確保のための手段として自動車専用道路としているということであって、手段に着目した比較では誤解を生じることになる。
 もちろん、海外との比較が全てではないが、数字の一人歩きに惑わされることなく、状況を正しく認識することが大切だと思う。

【プロフィール】
国土交通省福岡国道事務所所長。
2001年10月から2002年9月 英国道路庁へ派遣。2003年4月より現職。

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