
真ん中が自転車道路、歩道は右の木々の中 |
同性婚や安楽死を認める法律を持ち、一定の条件下でのドラッグを容認するなどオランダは、今はやりの”自己責任“という視点からすると、いかにも大人の国に見える。そのオランダを交通という切り口でみると、まぎれもなく自転車の国である。その程度を理解するには、自転車道路の延長や都市交通での自転車分担率を彼我の間で比較するのが手っ取り早い。国土面積378000平方キロメートルの我が国全体の自転車道路延長が6400kmであるのに対し、オランダは9分の1の国土面積に14500kmの延長をもつ。あるいは、人口規模が同じくらいの熊本市とアムステルダム市を比較すると、自転車の分担率が前者12%に対し後者24%、一方でマイカーの分担率は59%に対して40%。彼我の差は、とてつもなく大きい。

自転車優先、自動車は一端停止の道路 |


アムステルダム中央駅から伸びるラムダク通りにも自転車道 |
こうした自転車の国実現への過程を振り返ると、そこには環境を大切にする国としてのオランダの姿が見えてくる。1990年に策定された政府の第2次交通運輸計画の中に記載されている戦略は、実に印象的である。
”持続ある成長のためには、交通システムのさまざまな負の外部効果を抑制しなければならない。ただし、陸海空のヨーロッパの動脈としての地位の確保は国富の源泉であり、これを失ってはならない。“ オランダは、こうした矛盾を解決する重要な役割の一部を、自転車に求めたのである。
オランダの自転車交通やそれを支える施策にもいろいろ問題はあるが、心身合わせた健康増進に役立つうえに経済的でそして環境にも優しい自転車をもっと利用することは、色褪せた過去への郷愁ではなく、環境の世紀といわれる21世紀にふさわしい新しい価値の創出につながるはずである。