
名島橋は手前(上流)から4番目、海側から3番目 |
福岡国際マラソンの実況放送で必ず登場する、いわばランドマークといってよい橋である。車で走っているだけでは、この橋の良さはなかなか分からない。悲しいことに、それが現実である。
立ち止まることのない車社会では、その移動のスピードが橋のデザイン、景観との調和など「味」を消し去ってしまう。数ある土木遺産の中で、この名島橋を最初に取り上げたのは、そうした土木遺産が持つ不運な境遇の典型例と思えるからである。
名島橋の竣工は70年前の昭和8年11月18日。当時の福岡日日新聞(現・西日本新聞)は航空写真で全景を紹介しながらヨーロッパ風の半円アーチを、クローズアップ写真で橋脚デザインを見せ、それに祝賀会、という3枚組みの写真で紙面を飾っている。現在の編集者がこれほどまで思い入れをした紙面を作るだろうか。地域住民がこれほどまでに、橋をわが共有の財産として喜び合うだろうか。
橋長204m、幅員24m、6車線、歩道2.5m、コンクリート橋に御影石で衣装。古希を迎えてなお健在。これだけの橋を今作ることができるだろうか。.社会の財産づくりともいえる公共事業が荒波に洗われている現在、この名島橋が語りかけてくるものは実に多い。
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●設計者:後藤龍雄
●総工費:416,883円(昭和8年当時) |
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